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<聖書1pointメッセージ>

2013年09月07日 category : 聖書のお話 

イエスは答えて言われた。「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる。』と書いてある。」(マタイ福音書4章4節)

 

前半の『人は、パンだけで生きるのではない』という言葉は、多くの方が知っている聖書の言葉です。A氏はこの言葉を聞いたときに、その通りだと納得しました。「おれは、パンも好きだが毎日はどうもな。ご飯も好きだし、麺類も好きで、何でもござれだ!」と。

A氏の誤解はともかくとして、多くの方はパンに代表される目に見える物に依拠して生きています。目に見えるものが全てである、と考える人が多くいます。その人にとって幸福とは、お金と物に不自由せず、病気一つない健康体であり、家庭は円満で、仕事は順調で、将来が保障されて何の心配もないような生活を考えます。逆に、それらの物が一つでも欠けると、瞬く間に不幸に感じてしまうのです。

確かに、人間にはパンも必要ですが、パンだけでは充足されない、目に見えない心の部分があることも事実です。いくら物質的には恵まれていても、言い表せない不安や孤独、焦りやいらだちを抱え、満たされない人生を送っている方も多いのではないでしょうか。パンだけで満たされるほど、人間は単純ではありません。反対に、見るからに何も持っていないように見えながら、すばらしく豊かな心を持っている人もいます。

マケドニア生まれのマザーテレサが、神の召命を受けて「貧しい人のなかでもいちばん貧しい人たちのために一生を捧げる」ことを決意して、カルカッタの貧民街で活動したことはよく知られています。ノーベル平和賞を受賞したばかりか、インドで国葬がなされたということにも、彼女の働きの大きさを見ることができます。

マザー・テレサの本の中に、心打たれる一つの逸話を読みました。ある日、テレサはスラム街で、家族が何日も食物を口にしていないという婦人に、僅かの食物を提供しました。彼女は喜んでそれを受け取ると、すぐに自分の家に駆け込むかと思いきや、隣の家に駆け込んで行ったというのです。そして、「このお家の人も、ずっと食べていないんです!!」と。そう、彼女はもらった僅かな物をお裾分けしたのです。貧しさの中にあっても、他の人のことを思いやるという豊かさがあることを知るのです。

さて、聖書の言葉の後半部分ですが、神の口から出る一つ一つの言葉、それは聖書の言葉と言い換えることができるでしょう。私たちは神様の言葉によって、生き生きと生きていくことができます。

孤独なときにも、挫折してしまったときも、傲慢になって失敗したときにも、神様の言葉は私たちに力を与え、慰めと励ましを下さり、間違ったときにも私たちの行くべき道をただして下さるのです。神の言葉によって生きる人生こそ、満ち足りた人生を生きる秘訣です。